不登校対応においては、「連携」という言葉がよく使われます。確かにそのとおりなのでしょうが、何となく言葉の上だけで終わってしまっているような印象があります。
私たちは、すべての不登校になった子どもたちに対応できるわけではありません。「タイミング」と「相性」という要素がどうしても絡んでくるからです。
なので、子どもたちが「学ぶ機会」をできる限り失わずに済むようになるためには、もっといろいろな特徴をもった受け皿(場)が重なり合うようにできてくる必要があると考えます。
その上で、お医者さんが自分の手に負えないと判断したときには患者さんに他の病院を紹介するように、学校関係者と関係機関との間でももっとお互いに協力し、支え合っていけるような、そういった雰囲気が出来てくる必要があるのではないかと考えます。
自分の力で何とかしたいと努力するのはとても大切なことです。そうでなければ単なる「たらい回し」です。でも、何が何でも自分で解決しようとするならば、それは「傲慢」というものかもしれません。
どのように関わるか、どこまで関わるのかというのはとても難しい判断になりますが、「連携」というものを念頭に置きながら不登校の子どもたちと向き合うに当たって、「謙虚」な姿勢で臨むことを私たちは心掛けるようにしたいと思っています。
また、実際につながり合っていくためには、お互いの情報を知らないことには始まりません。
自分の持ち場で一生懸命に頑張っていると、なかなか外の情報には疎くなりがちなものです。同じような活動をしていても、お互いの動きについてはほとんど知らないということも決して珍しくはないでしょう。
であるならば、私たちが「訪問」という形をとることによって、その情報を中継する役割を少しでも担うことができないだろうかと考えています。
私たち自身は、不登校になった子どもたちの家庭を訪問するという形での支援を行いますが、家庭という場の中だけですべてが完結することはあり得ないため、必ずその次にどこかへつないでいく必要が出てきます。
その際に、皆さまのご協力やご支援をお願いしに伺うことになると思いますが、皆さま方の中でも何か困っていることがあれば逆に、「何か良い情報はないだろうか」と私たちを活用していただきたいのです。
そうした実践の積み重ねが、やがては大きな輪へとなってつながっていき、不登校対応をめぐるネットワークとして機能していくようになるのではないかと私たちは考えています。